<鍼・灸・指圧マッサージ師からのアドバイス>

第14回 2008年 10月11日 UP
〜お米の記憶〜" 

遠い昔、文化の日に籾殻焼きの光景を観た記憶があります。

なぜか、郷愁を感じるこの季節になると、毎年同じ事を思い出します。
幼い頃に食べた収穫したての新米の味が当時の私の大脳辺縁系機能を深く刺激し、以来忘れることのできない記憶として、秋になると再び蘇るのです。

昨今の穀物高による物価高で苦しむ日本の国民生活は、まだしばらく続くであろうと言われております。一方、それとは別に若年層の中には、ダイエットだとか、時間に余裕がないとかの理由で、朝食を摂らない人たちが増えつつあるのも現実のようです。
しかし、朝食抜きのライフスタイルはとても危険なのです。

朝食を摂らないライフスタイルが継続すると、体温が充分に上がらない「低体温」を引き起こしたり、大腸のぜん動運動の低下から「便秘」になったりもします。
そして、意外に知られておりませんが、脳にも悪い影響を与えているのです。

実は脳のエネルギー源は唯一ブドウ糖なのです。私たち人間の脳は毎時5g、1日に約120gのブドウ糖が必要とされます。したがって食事を抜くと、たちまち身体はブドウ糖不足となり、同様に脳のエネルギーも不足して活動が鈍くなります。そうなると肝臓で貯えられたグリコーゲンがブドウ糖に分解されて、血液中に血糖として流れ出し、脳に運ばれて栄養補給されるのです。
しかし、肝臓のグリコーゲン貯蔵量がいっぱいになっていても、約8〜10時間で空になってしまいます。つまり、夕食でしっかり栄養を摂ったとしても、翌朝には肝グリコーゲンはほぼなくなってしまうということなのです。

その様な状態で学校や職場に行けば、当然フラフラして、元気がなく集中力に欠け、失敗にもつながります。これは全て体内のブドウ糖が不足して、脳の神経細胞にも栄養がなくなったからなのです。

そして、もう一つ重要なのは、朝食による顎の運動です。朝食を摂るとシャキッと目覚めるのは、咀しゃくによる脳の覚醒作用なのです。脳は身体の運動から情報を得ておりますが、脳に届く運動情報で最も多いのは顎からなのです。一日の始まりの朝食で顎関節を動かすことにより、脳は活性化されるのです。
これは咀しゃくしていくうちに消化管(主に十二指腸や空腸)からコレシストキニンというホルモンが分泌され、このホルモンが脳の中の海馬(大脳辺縁系の一部をなす記憶を司る器官)を刺激するからなのです。
又、咀しゃく筋は使わなくなると唾液腺(耳下腺、舌下腺、顎下腺)の萎縮をもたらすことも知られています。

さて、このあと更に負の連鎖は続くのです。
朝食を摂っていない人は極度の空腹状態の為、ボリュームのある昼食を短時間で一気に食べてしまうケースが多いので、これが悪循環に拍車を掛けるのです。
短時間での食事は咀しゃく回数が少ないので、唾液が充分に分泌されません。
唾液の分泌が少ないと、アミラーゼによるデンプンの分解が不十分な為、未消化の糖がそのまま吸収されて血液中を漂い、ドロドロと赤血球どうしをくっつけてしまいます。
これが血液の汚れであり、やがて糖代謝異常や生活習慣病の原因にもつながるのです。
このように偏ったリズムは脳をはじめ全身へ悪影響を及ぼしているのです。

差し詰め朝食の秋といったところでしょうか。
待ちに待った新米の季節到来です。旬の野菜や果物を取り入れたバランスの良い朝食を心がけましょう。一定のリズムが動き出すと脳の神経細胞のシナプスの働きが良くなるので体調がより快方へ向かいます。
cf. シナプス=神経細胞間に形成され、シグナル伝達などの神経活動に関わる接合部位。

第13回 2008年 9月12日 UP
”女性に多い不定愁訴症候群(ふていしゅうそしょうこうぐん)" 
全国各地でゲリラ豪雨が相次ぎ、とうとう日本も亜熱帯になってしまったのかと、連日の異常気象に驚いております。
まだまだ暑い毎日です。
体のだるさを引きずっている方々も目立っております。
何かおかしい、調子が悪い、シャキッと動けない……という感じの様です。
もしや、不定愁訴症候群では?

不定愁訴症候群とは、身体のどこが悪いのかはっきりしない訴えで、検査をしてもどこが悪いのか器質的疾患を見い出し得ない状態を言います。
全身倦怠感、不眠、頭重、めまい、動悸、下痢などの症状が多く、自律神経系の関与が強く考えられる身体的愁訴で自律神経失調症や更年期障害、その他に心身症の罹患時に現れることが多いとも言われています。

こういった方々の多くは背中の筋肉の緊張度が高く、脊椎に歪みを呈している為、背部の浅層から深層に至る広範囲の筋肉を緩めることが症状の寛解につながってくるのです。

身体の中心となる背骨(脊椎)は7つの頚椎、12の胸椎、5つの腰椎、5つの仙椎と
尾骨の椎骨から成り、その中を脳から連なる脊髄が通り、両側の椎間孔より脊髄神経がでており反射の中枢を担い、運動系伝導路においては体幹の大きな姿勢筋 (脊柱起立筋など) を支配しております。
又、自律神経も脳幹と脊髄に由来し、内臓や血管などの働きをコントロールしているのです。
したがって脊椎の歪みは肩こりや腰痛の原因だけではなく、不定愁訴症候群と深い関わりがあり、体調不良の根源は神経の中枢である背骨に由来していると考えられるのです。
まさに背骨の歪みは万病のもとと言ってもいいでしょう。

体のだるさを長引かせていませんか?
清々しい毎日を送る為には定期的なチェックが大切です。

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